【認定落ち】(2024年)覚醒剤取締法違反【密輸】、関税法違反(覚醒剤取締法違反の成立を認めず関税法違反に認定落ち)
概要
依頼者(日本人男性)は、空港の税関検査の際、所持品(複数の雑貨や文房具)の中から覚醒剤が発見されたことから、覚醒剤取締法違反・関税法違反の罪で起訴されました。
弁護活動
被告人との接見や開示された証拠(SNSや海外送金に関する証拠)を分析したところ、本件の前に、SNSを通じて知り合ったシリア難民を自称する女性に騙されて、複数回に渡り数百万円を送金させられる詐欺被害に遭っていたにも関わらず、その後も女性を盲信し続けていたという経緯が明らかになりました。本件は、その女性から紹介された外国人男性に資金援助すると誘われて本件海外渡航し、帰国の際に土産品として託された上記雑貨や文房具の中から覚醒剤が発見されたというものでした。また、被告人には、統合失調症の診断歴があり、本件以前にも、高額品を購入させられるなどの詐欺被害に遭っていたことがわかりました。
弁護人は、これらの事情を前提に、裁判所に精神鑑定(裁判員法50条)を請求したところ、裁判所もこれを受け入れ被告人の精神鑑定が実施されました。弁護人は、精神鑑定の結果、被告人が「通常の人よりも騙されやすい傾向」にあり、統合失調症がその傾向に強く影響している可能性があるとの裏付けとなる専門家の知見を得ることができました。裁判では、統合失調症に罹患していた被告人には他人の言葉の「ウラ」を推し測る能力が乏しく、土産品として託された雑貨や文房具の中に覚醒剤が隠されているという疑念をもつことはできなかったことを主張し、精神鑑定を行った医師にも証言をしてもらいました。
判決結果等
弁護側の主張が全面的に受け入れられて、覚醒剤密輸の故意は認定できず、税関検査で他人からの預かりものはない旨の嘘をついた事実につき関税法違反【無申告・虚偽申告輸入】の限度で罪が成立するとして、懲役1年(未決勾留期間をその刑に満つるまで算入)、執行猶予3年の判決が言い渡されました(弁護側控訴)。
判決日:令和6年5月22日(TKC搭載)