【無罪・一部無罪】(2016年)殺人(全部無罪)
概要
統合失調症に罹患していた依頼者が、自宅で母親を刺殺して起訴されました。
弁護活動
国選弁護人に選任され、勾留直後から判決に至るまで、弁護活動を行ないました。
検察側が捜査段階で実施した精神鑑定の内容に疑問があったため、別の精神科医に相談し、精神鑑定の内容について精査を依頼しました。その結果、検察側の精神鑑定では、統合失調症の典型的な症状が十分に評価されていないことなど、大きな問題があることが分かりました。そこで、弁護側から、改めて裁判所に対して精神鑑定を請求し、これが採用されて依頼者の統合失調症を適切に評価した精神鑑定がなされました。
裁判員裁判で審理された公判では、2名の精神科医の証人尋問が実施され、弁護側では、検察側の精神科医の信用性を弾劾する反対尋問を行ないました。また、最終弁論では、検察側の精神鑑定の問題点について指摘し、心神喪失による無罪を主張しました。
判決結果等
判決では、弁護人の主張が認められ、依頼者に対し、心神喪失を理由とする無罪判決が言い渡されました(検察官控訴無く確定)。なお、依頼者は、入院処遇により適切な医療を受ける機会を得ました。
判決日:千葉地方裁判所平成28年12月20日(LLI/DB判例秘書登載)