【DV事案の早期釈放】DV事案であるが勾留延長を回避し、早期の釈放を勝ち得た事案
取扱事案
夫の、妻に対するDV事案でした。
幸い怪我の程度は軽微であったものの、これまでにも同様のトラブルで数回警察が出動しているため、暴力を振るった夫が逮捕されてしまったものです。
この2人は未熟な若年夫婦であったため、夫も妻も、最初は、なぜこんなことで逮捕するのかと警察の対応をなじるばかりで、自分たちの非を認めようとしませんでした。
さらに、夫は、国選弁護を引き受けた弁護士(筆者)に対し、さっさと妻に被害届を取り下げさせて俺を釈放させるのが弁護士の仕事だろうと、息巻く始末でした。
結果
捜査機関が納得するような再犯防止環境をじっくり整えることで、勾留延長をされることなく、処分保留での早期釈放を勝ち取ることができました。
なお、担当検察官からは、釈放後数か月間は処分保留のままとし、この夫婦が新たな問題を起こさなければ不起訴にするとの見通しを告げられました。
ポイント
この種事案では、警察・検察がどのような意図で夫を逮捕したのかを正確に知ることが、弁護活動の第1歩です。
そこで、国選弁護を受任後,接見の際に担当刑事とも面会し、上記のとおり既に複数回警察が出動していることからやむを得ず逮捕したことや、警察としては再犯防止環境がある程度整えば身柄拘束を長引かせるつもりはないことなどを聞き取りました。さらに、担当検察官に電話で確認したところ、同様の方向性で捜査に臨んでいる旨の言質を得ました。
そこで、早速、①逮捕された夫の親族(今回の事件の場合は兄)と連絡をとり、問題意識を共有の上、実家の両親をも巻き込んだ監督方針を立ててもらった上で、その内容を上申書にして検察官に提出する一方、②夫には、端的に、考えが甘いことを伝えて厳しく説教し、反省を促すことにより、上記結果を得ることができました。
夫は、最初は鼻息が荒いだけの若者に見えましたが、最終的には、自己の非を彼なりに理解し、二度と同じことはしないと誓ってくれました。