【早期釈放】強盗致傷罪で逮捕された被疑者について,被疑者とほぼ毎日接見して取調対応を助言するとともに,示談交渉も進めたことにより,窃盗罪と傷害罪に認定落ちし,罰金を納めて釈放となった事例
取扱事案
依頼者は,スーパーマーケットで万引きし,目撃した警備員から腕を掴まれました。これに対し,自分の腕を振り回したところ,その力で警備員を引きずり軽傷を負わせてしまったことで,依頼者は,強盗致傷罪の犯人として逮捕されました。
依頼者は,前科もない真面目な青年であり,腕を振り回した理由については,「パニックになり頭が真っ白になった」と説明していました。
結果
刑法では,万引犯人(=窃盗犯人)が,「逮捕を免れる」ために暴力を振るった場合には,強盗罪が成立すると定めています(刑法238条。事後強盗罪)。そして,その犯人が被害者を怪我させてしまった場合には,強盗致傷罪という重い罪(刑法240条前段。無期又は6年以上20年以下の懲役に当たる罪)に問われてしまうのです。依頼者も,そのような重い罪に問われ,強盗致傷罪で起訴されてしまう危険がありました。
しかし,依頼者は,暴力を振るった理由について「パニックになり頭が真っ白になった」と説明し,「逮捕を免れる」ためであったとは認めていませんでした。他方,捜査機関は,依頼人を強盗致傷罪で逮捕した以上,依頼者に「逮捕を免れる」つもりで暴行を振るったとの自白を,強く求めて来ることは容易に想像できました。
そこで,依頼者に対しては,ほぼ毎日の接見を重ね,強盗致傷罪に問われることの不利益や,「逮捕を免れる」ためであったかどうかが処分の分かれ目であることなどを丁寧に説明しながら,捜査機関の取調べ対応を助言し続けたところ,依頼人は,最後まで「逮捕を免れる」ために暴力を振るったなどという,意に沿わない自白を強いられることはありませんでした。
その一方で,万引きをしたスーパーマーケットや,怪我をした警備員との示談交渉を重ね,損害を賠償させていただくことにより,いずれの被害者とも示談書を取り交わすことが出来ました。
そこで,これらの示談書を検察官に届け,「依頼者には逮捕を免れる意図はなく,偏見は,窃盗罪及び傷害罪で罰金処理すべき事案である」との意見書を提出したところ,依頼者は窃盗罪と傷害罪が認定されて,略式手続(書面審査)により罰金刑を言い渡され,釈放されました。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★