イギリス刑事法紹介⑲~強姦罪(rape)~
現在のイギリス法における強姦罪(rape)の要件は、the Sexual Offences Act 2003という比較的新しい立法により規律されています。
同法が定める強姦罪の要件は、以下の3つです。
① 加害者が、故意に被害者の女性器、肛門、または口腔に男性器を挿入すること
② 被害者が挿入に同意していないこと
③ 加害者において、被害者が同意していると、合理的に信じていなかったこと
特徴的なのは③の要件で、強姦罪の成立のためには、単に加害者が被害者の同意を信じていたというだけでは足りず、そのように信じたことが合理的であったことが求められています。
また、法律上、③の要件について、一定の事実が認められる場合には、反証可能または反証不可能な推定がされることになります。
まず、加害者による暴行や脅迫があったり、被害者が眠っていたり意識を失っていたりする場合には、③の要件について反証可能な推定が行われ、被告人側が要件の不存在を立証することが求められます。
さらに、被告人が、行為の性質や目的について故意に被害者をだましていた場合や、被害者が知る他人を装って性行為を行っていた場合には、反証不可能な推定がされ、③の要件が自動的に認められることになります。
※本稿におけるイギリス法の説明は、イングランド及びウエールズ圏内において適用される法規制に関するものです。
弁護士/英国弁護士 中井淳一
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★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★