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イギリス刑事法紹介⑫~量刑の定め方~

2023.10.17ブログ

 イギリスの刑事法においては、成文法において各種犯罪に対する刑罰の範囲が具体的に定められていることは少なく、例えば、窃盗の場合には、「最長7年の懲役」、強盗の場合には「最長で終身刑」といった定め方がされています。この点は、非常に幅広い刑罰が法律上認められている日本法に近い部分があります。
 そのため、実際のイギリスの刑事裁判において具体的な量刑を定める際には、Sentencing Council(量刑評議会)が定めるガイドラインが重要な意味を持ちます。Sentencing Councilは、独立の公的第三者機関であり、経験豊富な法律関係者がメンバーとなっています。
 
 ガイドラインに基づく量刑は、かなりの部分が定型的な判断となり、平等な刑罰の適用が指向されているといえます。
 具体的には、まず、成立する犯罪について、その悪質性と被害の重大性を中心的な事情とした分類が行われ、それに基づいた刑の大まかな範囲が定められます。次に、量刑の加重的要素、軽減的要素が考慮され、実際に科すべき具体的な刑の種類や重さが定められることになります。

 特徴的なのは、こうしたガイドラインが、インターネット上で広く一般に公開されていることです。刑事手続において、透明性が重要な価値と捉えられていることが、こうした運用からも分かります。
 

※本稿におけるイギリス法の説明は、イングランド及びウエールズ圏内において適用される法規制に関するものです。

 

弁護士/英国弁護士 中井淳一 
https://japanese-lawyer.com/ 

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★