覚醒剤密輸事件の摘発件数の推移
2023年6月
弁護士 菅 野 亮
千葉県には、成田国際空港があり、覚醒剤密輸事件(覚醒剤取締法違反・関税法違反)が多く摘発され、起訴された場合は、裁判員裁判となります。
密輸事件には、海外から覚醒剤を郵送する「郵送型」と運び役がスーツケース等に隠匿した覚醒剤を持ち込む、「持込型」の類型があります。
コロナウィルスの問題が発生する前は、成田空港で摘発される覚醒剤密輸事件は激増していました。
令和4年の犯罪白書をみると、航空機旅客による覚醒剤密輸入事件の摘発件数は、令和元年に激増し、229件となっています。そして、コロナウィルスによる旅行等の制限等が始まった令和2年以降に激減し、令和3年には、5件にまで減少しました。
■航空機旅客による覚醒剤密輸入事件の摘発件数■
年 | 件数 | 押収量 |
平成29年 | 99件 | 190㎏ |
平成30年 | 91件 | 160㎏ |
令和元年 | 229件 | 427㎏ |
令和2年 | 23件 | 54㎏ |
令和3年 | 5件 | 35㎏ |
令和4年以降の摘発件数は、おそらく再び増えていく傾向になると思います。
なお、国際郵便物を利用した郵送型の覚醒剤密輸事件の摘発件数も令和元年がピークで、それ以降は、やや減少しています。
■国際郵便物を利用した覚醒剤の密輸入事件の摘発件数■
年 | 件数 | 押収量 |
平成29年 | 38件 | 96㎏ |
平成30年 | 52件 | 50㎏ |
令和元年 | 85件 | 188㎏ |
令和2年 | 23件 | 14㎏ |
令和3年 | 33件 | 52㎏ |
覚醒剤密輸事件の摘発件数の総数の推移を見ても、令和元年は、425件(押収量2587㎏)でしたが、令和2年は、72件(811㎏)令和3年は95件(912㎏)となっており、減少していることが分かります。
コロナウィルスは、私たちの生活に様々な影響を与えましたが、覚醒剤密輸事件の摘発件数をみると、覚醒剤密輸入事件にも、コロナウィルス感染症の影響があったといえそうです。
以上
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★