ストーカー規制法はどのような法律なのか④ ~被害に遭ったときの対処法~
令和5年1月
弁護士 金子達也
1 警察への相談
自分がストーカー被害に遭っていると感じた場合は、迷わず警察に相談するのが最も効果的です。
例えば、千葉県警ホームページでは、ストーカー被害の総合相談窓口として「相談サポートコーナー(043-227-9110)」が紹介されています。
各地の警察で、同じような相談窓口が設けられていますので、迷わず、相談してください。
この点に関し、警察庁は、各都道府県警察の長に対し、生活安全局長及び刑事局長の連名による平成31年3月29日付け「恋愛感情のもつれに起因する暴力的事案への迅速かつ的 確な対応の徹底について(通達)」を発しています。
この通達では、恋愛感情のもつれに起因する暴力事案の特徴は、警察が認知した時点では比較的軽微事案であっても、正に現在進行形の事件であるために、事態が急展開して被害者殺害等の重大事案に発展するおそれが大きいことに加え、加害者には、被害者に対する執着心や支配意識が非常に強いことなどから、検挙を恐れず凶行に及ぶ傾向があると指摘されています。
その上で、その対応としては「加害者が被害者等に危害を加えることが物理的に不可能な状態を速やかに作り上げ、被害者等の安全を確保することが最優先である。」との基本的な方針が示されています。
この通達では、このような基本的な考え方に基づき、警察の被害者に対する窓口対応の在り方として、①生活安全部門と刑事部門の連携(両部門の所管にこだわらずに連携して相談対応に当たること)、②制度等の教示(警察が行える対策等を被害者に具体的に示して積極的な利用をうながすこと)、③親族等との協力等(この種の事案の被害者には被害届を躊躇する者も少なくないため親族等の協力を得て被害届を促すこと)などの積極的な対策をとるよう指示がなされています。
各地の警察でも、この通達に従い、ストーカー事犯に対する相談窓口をインターネットなどで公開し、電話をすればすぐに相談に応じてくれる体勢を整えるだけではなく、専門の相談員による手厚い対応が行われているはずです。
2 弁護士への相談
とはいえ、現にストーカー被害に遭われている渦中の方の中には、自分の被害がストーカー被害といえるのか(警察が真剣に取り合ってくれるのか)に自信がもてないとか、警察に相談することで更に加害者の行為がエスカレートするのではないかと危惧するなどの、さまざまな事情により、警察への相談や被害届をすべきかどうか悩んでいる方も多いように思われます。
その場合は、まず、弁護士に相談することをお勧めします。
相談を受けた弁護士は、相談者の話を良く聞き、それがストーカー行為にあたるのかについての法的助言をしたり、実際にどのような方法で対応するのが良いかについての、具体的な助言することができます。
その上で、必要に応じて、嫌がらせ電話等の録音や防犯カメラの設置などによる証拠保全や、警察相談への同行なども行っています。
ですから、いきなり警察に相談することに躊躇している方は、まずは弁護士に相談してみるのも一つの方法です。
次回は他の法令等を駆使した対策について解説します。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★