【裁判の傍聴について】
2022年10月
弁護士 虫本良和
日頃、弁護人として刑事裁判に出席するために法廷に行くと、たくさんの方が傍聴に来ているということがあります。
もちろん、裁判になっている事件当事者の家族や知人等が傍聴に来るということが多いのですが、特に事件とは関係のない市民の方々が傍聴しているのかなと見受けられるケースも結構多くあります。
日本国憲法は、「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」(37条1項)、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」(82条1項)と定めており、刑事裁判は、公開で行うことが原則であるとされています。
被告人とされた人やその家族等からは、プライバシーの利益との関係で必ずしも公開を望まないという声を聞くことがあるのも事実ですが、憲法は、国民の誰もが、いつでも自由に法廷に来て裁判を傍聴することができることによって、公正・適正な裁判が行われるように、いわば裁判所を「監視」する役割を担ってもらおうとしているのだと考えられています。
ただ、いくら傍聴が自由といっても、法廷の傍聴席数には限りがありますので、満席になってしまった場合には、法廷に行っても傍聴することはできないので注意が必要です(「立ち見」は法廷では認められていません。)。
裁判所は、報道等で社会の注目を集めた事件など、多数の傍聴希望者がいることが予想される事件などの場合には、開廷前に傍聴券を配布して、券を持っている人だけが法廷に入って傍聴できるという措置をとっています。ちなみに、券を配布するタイミングは、各裁判所によって若干違うようですが、だいたい開廷時間の30分程度前の一定時間内に配布することが多いようです。傍聴券を配布する事件かどうかや、傍聴券を配布する時間などは、裁判所のウェブサイトで事前に確認することができます。
(https://www.courts.go.jp/courthouse/kengaku/botyo_koufu/index.html)。
ちなみに、用意した傍聴券の枚数(傍聴席数)を超える人が集まったという場合には、抽選が行われますので、配布時間内に列に並ぶことができればよく、「早い者勝ち」という訳ではないようです。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★