特定外来生物を釣った場合の法律問題
弁護士 菅 野 亮
1 法令により特定外来生物とされている魚類
釣りをしたら、予期していない獲物が釣れる場合があります。
それがまた、釣りの楽しみでもありますが、釣れた魚が、特定外来生物であった場合、取り扱いには注意が必要です。
魚類で、特定外来生物とされるのは、以下のとおりです。
「ガー科全種、ガー科に属する種間の交雑により生じた生物、オオタナゴ、コウライギギ、ブラウンブルヘッド、チャネルキャットフィッシュ、フラットヘッドキャットフィッシュ、ヨーロッパナマズ(ヨーロッパオオナマズ)、カワカマス科に属する種間の交雑により生じた生物、カダヤシ、ガンプスィア・ホルプロオキ、ブルーギル、コクチバス、オオクチバス、ラウンドゴピー、ナイルパーチ、ホワイトパーチ、ストライプトバス、ホワイトバス、ストライプトバス(サンシャインバス)、ラッフ、ヨーロピアンパーチ、パイクパーチ、ケツギョ、コウライケツギョ」
2 特定外来生物法による規制
特定外来生物に関しては、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(以下「特定外来生物法」といいます。)があり、特定外来生物の「飼養」、「輸入」、「譲渡し」、「放出等」が禁止されています。
特定外来生物法の定める禁止行為を行った場合、罰則も定められています。
例えば、特定外来生物を放出することは、禁止されていますが、これに違反した場合には、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています(同法第9条、第32条3号)。
3 キャッチアンドリリースは「放出」にあたるか
たまたま、特定外来生物を釣り上げてしまった場合、これを持ち帰って、飼うなどの行為が、法が禁止している「飼養」に該当することは間違いありませんが、その場で、キャッチアンドリリースした場合、「放出」したことになるのでしょうか。
この点については、環境省の「日本の外来種対策」、「外来生物法に関するQ&A」に記載があり、「釣った特定外来生物をその場で放す『キャッチ・アンド・リリース』は問題ありません」とされています(釣った特定外来生物を、生きたまま釣った河川・湖沼以外の河川・湖沼で放つことは違反行為になる、とされています。)。
また、「釣った特定外来生物をその場で締めた上で、持ち帰って食べることも問題ありません」と説明がありますので、例えば、ブラックバスを釣っても、その場で締めた上で食用のために持ち帰ることは違反行為ではないといえます。
以上
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★