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イギリス・QLTS試験について③(OSCE1)

2022.03.18ブログ

 QLTS試験の第二段階は、Objective Structured Clinical Examination(OSCE、筆記及び実技試験)となっています。出題される法分野は、ビジネス法、不動産法、相続法、民事訴訟、刑事訴訟の5分野です。OSCEは、さらに細かくOSCE1とOSCE2に分かれているため、このブログでは、OSCE1について解説したいと思います。
 OSCE1には2種類のテストがあり、1つめのテストでは、依頼者との初回面談及びその後のメモ作成を行うことになります。依頼者役は、試験のために雇われた俳優が務め、受験者は25分間のインタビューを行い、その間に事案に関する情報収集をします。その後、受験者は、25分間で事案の法的論点をまとめたメモを作成することになります。採点評価はインタビュー部分とメモのそれぞれに対して行われますが、短時間でのメモ作成が受験者にとっては特に苦労する部分です。
 2めのテストでは、依頼者へのプレゼンテーション(ビジネス法、不動産法及び相続法)及び法廷でのスピーチ(民事及び刑事訴訟)を行います。受験者は、45分の準備時間の間に簡単な記録を読み、プレゼンテーション等の内容をその場で考え、すぐに15分間のプレゼンテーション等を行います。個人的には、このテストが最も緊張を強いられるものでした。
 OSCE1全体を通していえるのは、細かい法律知識や深い議論は求められておらず、現実にありそうな事案に基本的な法律関係を適用して短時間でアウトプットすることが求められているといえます。この点で、日本の司法試験とは受験者に求められている能力が少し異なるように感じました。

弁護士 中井淳一 https://japanese-lawyer.com/  

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★