「告訴」「親告罪」って何ですか?
犯罪被害者やその法定代理人等(刑事訴訟法230条ないし234条)が、警察など捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示のことを「告訴」といいます。よく似たものに「被害届」がありますが、こちらは、犯罪の被害を申告するにとどまるという点で告訴と区別されています。
犯罪の中には、告訴がなければ起訴できない「親告罪」と呼ばれるものがあります。代表的なものは、名誉毀損罪・侮辱罪(刑法230条・同法231条)、器物損壊罪(刑法261条)などです。
なお、2017年の刑法改正(施行は2019年)により、従来親告罪とされていた強制性交等罪(改正前の名称は「強姦罪」)、準強制性交等(同「準強姦罪」)、強制わいせつ罪及び準強制わいせつ罪などが、非親告罪化され、告訴が無くても起訴できることとなりました。
この点、2017年6月26日付法務省刑事局長から発出された「『刑法の一部を改正する法律』の試行について(依命通達)」には、性犯罪が非親告罪化されたことに関する「留意事項」として、「性犯罪については、もとより、被害者のプライバシー等の保護が特に重要であり、事件の処分等に当たっても被害者の心情に配慮することが必要であることは、強姦罪を非親告罪化した後も変わるものではない。したがって、本法施行後においても、引き続き、事件の処分に当たって被害者の意思を丁寧に確認するなど被害者の心情に適切に配慮する必要があることに留意されたい。」と記載されており、非親告罪化された後も、被害者の心情に配慮した捜査や処分方針の判断を行うことの重要性が指摘がされています。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★