Q 海外から私宛の小包が届きましたが差出人に心当たりがありません。つい不用意に受け取ってしまったものの,犯罪に巻き込まれるのではないかと不安です。どうしたら良いでしょうか。
A 絶対に開封せず,すぐに警察に通報してください。
以下のような危険が無いとは言えません。
1 その小包に違法薬物が入っている可能性があるからです。
2 相談者に全く心当たりがない場合は,犯罪組織に利用されてしまった可能性が考えられ,開封してしまったことで,逮捕されてしまうこともあるため,心当たりがない場合は,開封せずにすぐに警察に通報(連絡)することをお薦めします。
3 覚醒剤等の薬物密輸組織は,時には一般市民を巻き込んでも構わないという身勝手な考えで,自分たちの商品である違法薬物を,手を変え品を変え,日本に輸入しようとしてきます。
例えば,過去には一般市民の自宅に違法薬物を送り届けた上で,それが届いた頃合いを見計らって空き巣に入り,届けた違法薬物を回収するという恐ろしい事例もあります。
そのため,今回,海外から自分宛で差出人に心当たりがないのであれば,相談者が,知らず知らずのうちに,そのような犯罪組織に利用されている危険もあることから,中身を確認(開封)せずに,まずは,警察に通報(連絡)することが大切です。
4 警察や厚生労働省麻薬取締部などの薬物犯罪捜査機関には,コントロールドデリバリーという捜査手法(以下,「CD捜査」といいます。)が認められています。
CD捜査というのは,税関検査で海外から日本に送られてきた荷物等に違法薬物が入っていることが確認出来た場合に,それをそのまま(あるいは形の似た偽物と入れ替えて)通関させて,宛先まで届けた上,荷物を受け取った人を違法薬物の密輸罪で現行犯逮捕してしまう手法です。
CD捜査を行う薬物犯罪捜査機関は,このようにして現行犯逮捕した相手が「中身はわからない」と弁解する余地を残さないために,郵便局員や宅配業者に変装した捜査員がその荷物を届けても,すぐには踏み込まず,受け取った人が荷物を開けて中身を確認したタイミングを見計らって,その現場に踏み込みます。
ですから,相談者が荷物を開けた途端,薬物犯罪捜査機関の捜査員がドカドカと自宅に踏み込んでくる危険もあるかもしれません。
5 また,もし,相談者が既に荷物を開封してしまい,その中に不審なものが入っていた場合には,遠慮なく,法律事務所シリウスの弁護士に御相談ください。
御相談をお受けした上,どのように対処するのが一番良いのかについて助言させていただき,場合によっては,警察等に同行することも可能です。
以上
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★