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裁判と送達

2021.08.13ブログ

2021年5月

弁護士 高岡祐子

1 裁判所への書類の提出・被告への送達

 民事事件で裁判を起こした場合,まず,訴状と呼ばれる書面を,裁判所に提出します(民事訴訟法133条1項。以下,民事訴訟法を「法」と言います。)。
 訴状の他にも,証拠を提出する場合には,証拠と,証拠説明書を併せて裁判所に提出します。

 訴状は,裁判所用のものを1通(正本)と,被告用のもの(副本)を被告の人数分,まず,裁判所に提出します。
 被告用に提出した訴状の副本は,裁判所から被告に送られることになり,これを「送達」といいます。
 被告は,訴状が送達されることにより,訴訟が提起されたことを知ることになります。
 訴状には,被告の住所地を記載する必要があり,記載した住所地に宛てて送達がなされます。

2 休日送達・就業場所送達

 このようにして,裁判所を通じて,被告に訴状の送達が行われますが,被告が訴状を受け取らない場合があります。

 被告が訴状を受け取らない場合,まずは,休日送達と言って,休日指定で,再度郵便を送ってもらうことが可能です。また,被告が働いている場所を把握している場合は,就業場所送達と言って,勤務先に宛てて,訴状を送ってもらうことも可能です(法103条2項)。

3 付郵便送達

 休日送達や,就業場所送達もできない場合,被告の住所地に被告が実際に住んでいるかどうかを調査することになります。
 調査の結果,実際に被告が住所地に住んでいることが判明すれば,裁判所から,被告の住所地に発送した時点で,被告が受け取るかどうかに関わらず,送達が完了したものとみなされることになります。
 これは書留郵便等に付する送達,というもので,付郵便送達,とも呼ばれます(法107条)。
 
4 公示送達

 調査の結果,全くの空き屋になっているような場合で,他に被告の転居先等もわかっていない場合には,付郵便送達も選択できないことになりますが,公示送達,という方法で,送達の手続を取ることが可能です(法110条)。
 公示送達は,居場所がわからない被告に対して訴訟を提起する場合に,裁判所の敷地内に設置されている掲示版に,訴訟が提起されており,送達すべき書類を保管してあること等が記載されている書面を掲示してもらい(法111条),2週間を経過することによって,被告への送達の効力が生じる手続きです(法112条1項)。

 このように,訴状の送達ひとつ取っても,裁判の手続きは複雑です。
 お困りの際は弁護士にご相談ください。

以上

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★