イギリス便り⑭～LLM module③ Forensic Psychology ～
2021.06.04ブログ
法心理学（Forensic Psychology）は，刑事法だけではなく，法律や法的意思決定と人間心理が関わる様々な事象を取り扱う幅広い分野で，欧米における最近の発展が顕著です。LLM（Criminal Litigation）コースでは，特に刑事実務と関係する法的問題について，心理学的な研究について学ぶことができ，授業で扱う項目は，犯人識別供述，虚偽自白，供述の信用性等，実際の刑事実務に直接関係する内容となっています。
欧米の法心理学研究では，ストレス下における同一性識別の正確性，誘導尋問を使用した際の証人の記憶喚起への影響など，実務上の重要性が高い問題について，様々な実験を通じて検証が行われています。実験結果は，実務家の常識に合致するものもあれば，そうでないものもあり，法律家が持つ「常識」について，科学的な視点から改めて考えさせられる部分が多くあります。
また，イギリスの刑事実務との関係では，法心理学の研究結果を受けて陪審員への説示内容が修正されたり，子どもや学習障害のある人への証人尋問の方法について新たな立法がなされるなど，法心理学が大きな寄与をしているといえます。
弁護士 中井淳一
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★
