お知らせ・ブログnews & blog

千葉県千葉市の弁護士事務所 法律事務所シリウス > お知らせ・スタッフブログ > ブログ > 相続法改正(1)~自筆証書遺言の改正~

相続法改正(1)~自筆証書遺言の改正~

2019.05.07ブログ

 平成30年7月,民法の相続法分野の改正があり,自筆証書遺言について重要な変更がありました。

1 自筆要件の緩和~添付する財産目録はワープロ文書,コピー等が可能に~
自筆証書遺言について,遺言書に財産目録を添付したときは,その財産目録は自筆しなくてもよくなりました。パソコンで作成した文書や,通帳,不動産登記事項証明書の写し,さらには代筆でも可能になります。以前は財産の内容もすべて自筆を要求されていたため,作業が大変になっていましたが,かなり簡便化されたことになります。
なお,遺言者本人の意思を示す方法として,添付する財産目録の各ページ(裏面にも印刷がされている場合は裏面にも)に遺言者本人の署名押印が求められています。
具体的な作成の方法としては,自筆証書遺言本文に添付財産目録を引用する方法で遺言書を作成し,各ページに署名押印をした財産目録を遺言書に添付することになります。
この改正部分は平成31年1月16日から施行されています。

2 自筆証書遺言書の保管制度の創設
自筆証書遺言について,法務局で保管することができ,また法務局が保管された遺言の存在を公証してくれるようになります(この部分の改正は,2020年7月1日からになります。)。
この制度の概要は以下のとおりです。
まず,遺言者本人が,法務局に遺言書を持って行き,保管を依頼すると,法務局でこれを電子化するとともに遺言書原本を保管します。
法務局に保管された遺言は,本人が死亡した後,相続関係人の請求により,検索が可能になったり,遺言書の内容の開示を受けることができます。
また,この制度を利用すると,自筆証書遺言に求められる裁判所での検認手続が不要になります。
もっとも,法務局は,遺言書の形式のチェックしかしないことになっており,遺言書の内容のチェックや遺言者本人の判断能力のチェックは行いません。
また,制度設計として,遺言者本人が自ら法務局に出頭することを求めるようですので,法務局に出頭できない方は,公証人に出張してもらって公正証書遺言を作成するなど,他の方法による遺言を考える必要があります。
制度の詳細はこれから詰まっていくことと思いますので,引き続き注目していく必要があります。

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★