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菅野亮弁護士が「境界紛争処理に必要な法律知識」に関する研修講師を担当しました

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 菅野亮弁護士が,千葉県土地家屋調査士会において,研修の講師を担当しました。
 境界紛争の解決には,「境界」(筆界・所有権界等)に関する正確な知識を前提に,紛争解決に相応しい手段の選択が必要となります。

 「筆界特定制度」が創設されて以来,統計上,「筆界(境界)確定訴訟」の件数は減っていますし,「筆界特定制度」は概ね8ヶ月前後で終了している事件が多いようです。
 しかし,当事務所で実際に担当している事件をみると,筆界特定の結論がでるまでに,1年半から2年かかり,そこから訴訟の依頼に来るというようなケースも見受けられます(典型的な事例は,筆界は,特定されたものの,越境している構築物等の撤去について話し合いがつかず,相手方からは時効の主張等をされて訴訟になるような事例です。)。

 本研修では,境界紛争で問題になることが多い,時効と登記の問題に関し,最高裁平成18年1月17日判決などを素材に,最高裁の確立している時効と登記に関するルールと「背信的悪意者」とは何かについて講義をしました。相談業務等では,長期間の占有があることから時効が成立していると感じる事案も多いですが,上記最高裁においても,「取得時効の成否については,その要件の充足の有無が容易に認識・判別することができない」と判示されており,安易にその見通しに基づいて事件処理をすることは危険です。

 また,境界紛争の紛争解決手段ですが,「筆界」の紛争については,「筆界特定制度」と「筆界確定訴訟」があり,所有権界の紛争については,土地家屋調査士会が運営している「ADR」,裁判所の「調停」と「所有権確認訴訟」があり,それぞれの手続にメリット・デメリットがあります。
 依頼者が求める結論を達成するために最適な法的手段の選択については,考えさせられる事案が多いです。