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成年年齢引き下げと養育費の支払いについて

2017.09.25ブログ

離婚の際問題となることの多い養育費ですが,民法の成年年齢が18歳に引き下げられることに伴い,養育費の支払の終期も18歳となるのではないか,との指摘がなされています。
養育費とは,両親間で分担する未成熟子の生活費をいい,未成熟子とは,経済的に自立していない子をいうと定義されることが一般的です。
この定義によれば,養育費の支払いの終期は,その支払いの対象となる子が未成年かどうかでなく,経済的に自立する時期であるかどうかが問題となると考えられます。
調停等においては,経済的に自立しているとはいえない大学入学を控えている子について,養育費の支払いを大学卒業までと定めるなど,養育費の支払終期を成年年齢と必ずしも一致させないケースも見受けられるようになっています。
しかし,裁判実務では,未だ対象となる子が「満20歳に達する日の属する月まで」と定められることの方が多いのが現状です。これは,親権は子が成年に達したときに終了するため,子の監護に関する処分としての養育費は,成年に達するまでに限られるとすべきである,との考え方によるものとされます(大阪高決昭和57年5月14日家月35巻10号62頁)。
このような裁判実務の運用によれば,成年年齢が18歳に引き下げられれば,養育費の支払終期も18歳とされる可能性は低くないといえます。
しかし,民法上成年年齢が2歳引き下げられたからといって,養育費の支払い対象となる子の生活実態が成年年齢引き下げ前と直ちに変わるものではないとも考えられ,養育費の支払終期を,満18歳までと定める合理的な理由があるかどうかについては,慎重な検討が必要かと思われます。
                                                 以上