多額の借金があるのですがどうすればいいでしょう?
法律事務所シリウスでは、個人の債務者については「任意整理」、「個人再生手続」、「破産手続」によって負債の問題を解決しています。
手続の流れをご説明します。
Step1 貸金業者等からこれまでの取引履歴を提出させる
Step2 正確な負債総額を把握
貸金業者等から取り寄せた取引履歴を前提に、業者が現在適用している利息(25%~29%)ではなく、利息制限法所定の利息(15%~20%)に引き直して計算した額によって「正確な負債総額を把握」します。
これまで利息として支払ってきた額のうち利息制限法所定の利率を超える金額については、元金に充当する形で再計算を行いますので、負債総額が減ることが多くあります。
具体例
平成19年1月1日に、100万円を年29.2%で借入をし、毎月1日に3万円滞りなく支払いを行った場合
Step3 方針を決める
過払金が発生して負債が無くなる
過払金(Step1及びStep2の作業を行った結果、払いすぎであった場合に業者から返還を受けることができる金額)が発生し、業者から取り戻せる場合もあります。
長年、貸金業者と取引を行っている方の場合は負債がなくなってしまう場合もあり得ますが、一部の業者には払いすぎで過払金が戻ってくるが、他の業者には残債務が残ってしまう場合には、「任意整理」、「個人再生手続」、「破産手続」の手続の検討を行います。
任意整理
負債が残ってしまい(過払金が一部発生しても残債務が発生してしまう場合)、定期的な収入があり無理ない返済プランが立てられる場合には、債権者と話し会い分割弁済を行うことを合意し、数年間(おおむね、3年程度)での弁済を目指します。
任意整理による場合、業者とは将来利息の免除の交渉を行い、相手方が了解した場合には元金のみの分割弁済となります。
また、定期的な収入ではなく、不動産等の資産を売却して一括返済ということも考えられるところです。
任意整理は、各依頼者の経済的状況によって柔軟な対応が可能な手続といえます。
個人再生手続
定期的な収入はあるが毎月の収入では、任意整理を行うことが難しい場合、裁判所に個人再生手続の申立てを行い、負債の一部カットを行った上で、原則として3年間の分割弁済を行い残額を免除してもらいます。
個人再生手続は、定期的な収入(給料である必要はなく自営・農業等の不定期な収入など)のある方が利用できる小規模個人再生と給与所得者等が利用できる給与所得者等再生手続がありますが、この二つの手続は、最低弁済額や手続を進める上で債権者の同意が必要か否かといった点に違いがあります。
個人再生手続において、裁判所の許可を得た上で住宅ローンの弁済は継続したまま、他の負債の一部カットを行うこともできますので、住宅を維持したい方には便利な手続と言えます。
※ 住宅資金貸付債権に関する特則を利用した個人再生手続
- 小規模個人再生手続
1,5000万円以下の負債額の場合、負債額の5分の1と、100万円のいずれか大きい額ということが一つの基準
※例 負債額は400万円だった場合。負債額の5分の1が80万円となり、100万円のほうが額が多いので100万円を3年間で分割弁済することになります - 給与所得者等再生手続
法令等で定められた方式によって算出された可処分所得の2年間分の額を支払う
なお、上記の計算により最低弁済額が算出されますが、その額以上の財産を持っている場合にはその財産の価額が最低弁済額になります(清算価値保障原則といいます)。
破産手続
裁判所に破産・免責手続の申立てを行います。
収入がない方や、親族の事業資金の連帯保証をした場合で、負債額が多額のため任意整理や個人再生手続では解決できない場合は破産手続を利用し、負債のない新たな生活を行うことが望ましいと思われます。
例えば、自営業者の知り合いが銀行から2,000万円借り入れた際に、頼まれて連帯保証人になってしまったが、自分の収入がパート収入で毎月8万円程度しかなく資産等もない場合などは、破産手続を利用することが考えられます。
負債が200万円しかない場合でも、うつ病のために職を失い現在生活保護を受給することを検討中といった場合にも、破産手続による解決しか図れないことが多いと思われます。
なお、裁判所において免責決定を受けることができれば、法律上負債の支払義務がなくなります。