「中小企業金融円滑化法」について
中小企業金融円滑化法は,平成21年11月30日に法案が成立し,同年12月4日から施行されています(金融庁 http://www.fsa.go.jp/policy/chusho/enkatu.html )。
同法4条において,金融機関は,「債務の弁済に支障を生じており,又は生ずるおそれのあるものから当該債務の弁済に係る負担の軽減の申込みがあった場合には,当該中小企業者の事業についての改善又は再生の可能性その他の状況を勘案しつつ,できる限り,当該貸付けの条件の変更,旧債の借換え」等の「当該債務の弁済に係る負担の軽減に資する措置をとるように努める」とされています。
これを受け,金融機関ごとに専用の対応窓口を設置したりしておりますし,全国の信用保証協会では「条件変更対応保証制度」の取り扱いを開始しており,金融機関の対応態勢は整ってきていると思われます。
また同法5条では,住宅資金借入者からの申し出に対しても,同様の措置をとるように努めるとされており,中小企業だけでなく,住宅ローンの支払いが困難な個人への努力義務が規定されています。
こういった返済緩和等により再生が可能な企業,個人が増えることは望ましいことです。
他方で,実務の現状をみていると,返済緩和をしても,利息の免除までは容易に認められませんし,そもそも,コアの事業自体が立ちゆかないので,民事再生手続や会社分割等の抜本的な措置が必要な企業も見受けられます。
住宅資金借入者についても,他の負債などもある場合には,住宅資金特別条項を利用した個人再生手続のほうが再生が容易な場合もあり得ますし,期間が延びれば支払総額は増えるわけですから,真に意味のある返済緩和となっているのかよく考慮する必要があると言えます。
弁護士 菅野 亮