しつこい訪問販売で不要な商品を買った場合に、どうしたらいいでしょうか?
この前突然「布団の点検に来ました」などと言って業者が家に来て布団の点検をしました。すると、業者は、
「お宅の布団はダニの巣になっています」
「この ままでは体のあちこちに不快な症状が出て、最後には病気になってしまいます」などと言い、続けて
「当社の布団は完全防ダニの布団です。」
「月々3万円のク レジットを組めます」などと言って執拗に勧めてきたので、私も心配になり、ついつい100万円もする布団を36回払いのクレジット(個別式クレジット契約)で買ってしまいました。
しかし、その後家族に話したところ、高すぎると怒られてしまいました。でもすでにクレジットを組んでしまいましたし、布団も受け取っているのですが、どうしたらいいでしょうか。
このように、業者が営業所以外で行う販売行為を訪問販売といい、特定商取引法の適用があります。
訪問販売においては、法定の書面(契約内容やクーリング・オフについての記載など)を受け取った日から起算して8日以内であればクーリング・オフが可能です(受け取った日を1日と計算しますので注意してください)。クーリング・オフは、書面で契約解除の意思表示をクレジット会社(及び販売業者)に対して行います。8日以内に「発信」すればよく、クレジット会社(や販売業者)へ届くのが9日以降でもかまいません。書面については、送った日や内容についても証明できるよう、内容証明郵便で送った方がよいでしょう。
仮に書面を受け取ってから9日を過ぎてしまった場合ですが、業者の渡した書面を確認すると、法や省令で定められた記載事項が記載されていなかったり する場合があります。
記載不備や虚偽の記載のある場合は「書面」を交付したことにはなりませんので、書面の内容によってはクーリング・オフの期間が経過して いない可能性があります。
また、業者は「お宅の布団はダニの巣になっています」「このままでは体のあちこちに不快な症状が出て、最後には病気になってしまいます」などと説明をして いますが、いったいどのような病気になるのかもよく分かりませんし、そのような実証データなどもないと思われます。
にもかかわらず、あたかも今の布団のま までは病気になってしまうなどと説明することは、「契約締結の必要性に関する事情」について不実の告知をしたとして、特定商取引法の不実告知による取消が認められると考えられます。
さらに、業者は「当社の布団は完全防ダニの布団です」と自社の布団が特に品質が優れているかのように説明していますが、このような品質に関する事項につ いての説明が虚偽であった場合は、消費者契約法の不実告知による取消が認められると考えられます。
このような場合、販売業者との売買契約と、クレジット会社の与信契約の両方を取り消すことで、クレジット会社に対し、すでに支払った代金の返還を請求することができます(特定商取引法及び割賦販売法)。
取消しの手続きは、販売業者、クレジット会社の双方に行います。
なお、取り消すことができる期間は、誤認に気づいた時(追認をすることができる時)から6か月、契約日から5年までです。
なお、業者は「布団の点検」と称して最後には布団を売りつけていますが、訪問販売では契約の勧誘に先立って勧誘目的や商品名等を告げなければならないとさ れていますので、この業者の行為は特定商取引法に違反します。このような業者にはくれぐれも注意してください。