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振り込め詐欺の被害者救済法

2008.03.14ブログ

 法律相談で,いわゆる「振り込め詐欺」の被害者から相談を受けることがあります。

 振り込め詐欺は,多くの場合,「加害者」が,どこの誰かも分からず,また,刑事事件で立件されて相手方が分かった場合でも,相手方が財産を所有しておらず,被害者が救済されないことも多いものです。

 振込先の金融機関の口座に預貯金が残っている場合,金融機関によっても対応が異なりますが,任意の返還に応じてもらえない場合には,銀行を相手取り,債権者代位訴訟を提起することもありました。
 しかし,訴訟を起こすことになりますので,費用も時間もかかる手続きです。

 このような社会情勢において,振り込め詐欺の被害金が存在していると思われる口座から簡易な方法で被害者に分配をする必要性が高まり,国会でも審議されていました。
 そして,振り込め詐欺の被害金があると思われる銀行口座については,一定の手続きを経ることで,被害者に対して預貯金として残存している金銭の分配を行う手続きを定めた法律が制定されました。
 この法律の正式名称は,「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(一般には「振り込め詐欺被害者救済法」と呼ばれることもあります。)といい平成20年6月21日から施行されます。

 この法律による被害者救済も期待されるところです。
 もっとも,振り込め詐欺の場合,通常,引き出し役の人間が,頻繁に口座からお金を引き出していたり,また,入金先の口座自体も変更している場合も多いので,この法律により,被害者がどこまで救済されるか分かりません。
 振り込め詐欺の場合,まず,詐欺だと気が付いた段階で振込先の口座の凍結等を求めることが必要となります。
 まずは,振込先の金融機関や法律家にご相談下さい。

                                  報告者 菅野