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「ロールプレイ法律相談」研修~土地抵当権者と賃借人の関係

2008.03.01ブログ

 2月29日,毎月恒例の事務所内研修を実施しました。
 当事務所では,毎月の事務所会議で,テーマを決めて弁護士及びスタッフ内研修を実施しているのですが,今月から,「ロールプレイ法律相談研修」を行うようになりました。

 これは,弁護士1名が具体的な悩みを持つ法律相談者になり,相談者側の弁護士の説明が適切かどうか全員で検討していくものです。
 相談担当する弁護士にとって必要なのは
 ①当該事案に対する的確なアドバイス,
 だけでなく,
 ②相談者がどのような問題で悩んでいるのかを聞き取り,法律的に整理する能力,
 ③法律的に難しい用語・概念等を相手の立場にたって分かり易く説明する能力
 等も必要になります。
 また,スタッフにおいても依頼を受けた場合,どのような事務作業が必要になるのかという予測をすることはとても大事なことですから,弁護士の相談を聞きつつ,今後あり得る事務の予測という意味でスタッフ研修でもあります。

 今回の事案は,自分所有の土地・建物を住宅ローンで建てたものの,負債が多く破産を考えている方の相談です。その場合に,破産・競売手続等はどのように進められるのか,また実は,土地の一部を他人に貸していて,他人の建物とその賃借人の立場はどうなるのか,という点も相談の内容でした。
 これは,「抵当権設定後に建築された建物賃借人は,土地の抵当権者に対抗できるか」という論点で,下級審での裁判例(大阪地裁堺支決平成18.3.31金融法務1786号108頁)しかない難問でした。
 結局,相談担当弁護士は,①競売手続がどのようなものか,②引渡命令とは何か,その対象は,③買受人の立場でどんな権利行使ができるのか,という問題点について説明することになりますが,法律的に難しいコンセプト等を相談者に,「正確」かつ「分かりやすい説明」で行う難しさを実感しました。
 今後とも,このような研修を行い,弁護士においても,正しい法律の知識の習得及び依頼者に分かり易く説明する技術を学びたいと思っております。
                                報告者 菅野