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「裁判員裁判」研修&加藤弁護士の受難

2008.03.01ブログ

2008年2月8日,千葉県弁護士会において,「公判弁護技術研修」~裁判員裁判における冒頭陳述と尋問の理論と実践~という研修を実施しました。
 講師として,裁判員制度の第一人者である四宮啓弁護士を迎え,資料等の準備及び実演者として,当事務所のメンバー全員が参加しました。

 これまでの弁護士の活動は,裁判官に読んでもらうための「書面」を作成することにエネルギーをさき,法廷における説得のための技術の習得という努力を怠っていたことは事実だと思います。
 研修では,若手弁護士に架空の事案のベースとして,実際に「冒頭陳述」,「反対尋問」を行ってもらいました。しかし,実演者のパフォーマンスは,内容はとても良く準備されている反面,書面を読む感じの域を出ておらず,見ている研修出席者(裁判員),つまり聞き手側に意識が十分向いていないものでした。
 その後,四宮弁護士の冒頭陳述実演があったのですが,内容だけでなく,そのプレゼンテーションは素晴らしく,多くの会員にとっても一つの目標となるべきものでした。
 
 研修後半では,反対尋問の在り方に関する研修を行いましたが,加藤弁護士が気持ちよく反対尋問をして,証人に書面を示そうとした矢先,突如,会場の最前列から火のような異議が出されました。

 「異議あり,証拠調べの終わっていない書面を示すことはできません」

 なんと,同じ事務所の濟木弁護士です。
 あまりに突然に設定のない検察官役から異議が出た加藤弁護士の目はちょっと泳ぎ気味でした(濟木弁護士の目は笑っていましたが。)。さすがの加藤弁護士も,最前列に座った同僚から異議が出ることまでは予想していなかったのですが,その点は甘いといわざるを得ません。実は,私と濟木先生とで,二つの異議の理由を考え,会場から異議を出す綿密な打合せがなされていたのです。
 何とか(?)加藤弁護士も刑事訴訟規則199条の3,199条の10,199条の11の趣旨等を押さえて,異議にも対応できましたが,弁護士は気を抜くことなく,常に法的根拠を持って適切な対応が出来るようにしなければならないという教訓を得た楽しい研修となりました。
                                報告者 菅野