英文契約書作成の実務①~前文~
英文契約書を作成する際、前文として、“WITNESSETH”という単語が契約書の中央に記載される定型的な長い一文が用いられることが多くあります。
“WITNESSETH”という単語は、現代では通常用いられない古い時代の英語で、現代英語における“witness”という語の三人称単数形であるとされています。この単語は、英文契約書の前文の文脈では、その契約書に記載された内容を「証明する」という意味で用いられています。
このような古い言葉を含んだ形式的な前文に、法的な意味はほとんどないと考えられますが、現代でも英文契約書にはこうした前文が頻繁に用いられています。英文契約書に元々なじみのある人にとっては、特に違和感を感じる部分ではないのかもしれません。
一方で、英文契約書は、近年ではグローバルな取引に広く用いられており、伝統的な英文契約書の形式になじみのない層の利用も多くなっていると考えられます。そのため、法的意味が薄く、理解もしづらい伝統的な前文を英文契約書に定型的に用いることには、批判の声もあるようです。
弁護士が依頼を受けて英文契約書を作成する際には、伝統だけにとらわれず、依頼者のニーズに応じて記載の形式なども使い分けて行くよう努めていきたいと思います。
弁護士/英国弁護士 中井淳一
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★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★