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イギリス刑事法紹介㉒~強盗罪(robbery)

2024.08.20ブログ

 イギリス法上の強盗罪は、section 8 of the Theft Act 1968により、窃盗の直前または窃盗の時に、被害者を恐怖に陥れるために有形力を行使した場合に成立するとされています。

 何が強盗罪における「有形力(force)」に当たるかについて、立法では定められていません。そして、判例法においても、「有形力(force)」は、通常使われる言葉であり、その意味の判断は陪審に委ねられているとされていますが、「暴力(violence)」よりも広い概念であると考えられています。実務上は、比較的程度の低い身体の接触であっても、「有形力(force)」に該当すると判断される事例が多いようです。

 強盗罪の既遂時期は、判例法理により、「占有(appropriation)」が完了したときとされていますが、犯人が被害者の鞄をつかんで取り上げた後、その場に落として逃げ去った事例において、強盗は既遂であったと判断されています。

 強盗罪の法定刑は、最大で終身刑とされており、重い刑罰が科される犯罪類型といえます。近時の統計においても、過半数の事例において拘禁刑が選択されていることが示されており、執行猶予やコミュニティオーダーといった、刑務所に入らない形での処遇が取られることは、比較的少なくなっています。

弁護士/英国弁護士 中 井 淳 一 
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★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★