「法廷弁護技術」研修⑤ 主尋問とその講評3
報告者 菅 野
【酒店を見張る刑事に対する主尋問】
「では,ワトキンスが酒店の中に入る前のことを聞きますね」
「はい」
「あなたは,ワトキンスが店内に入るとき,どこにいましたか」
「店の外の道路の脇に車を止め,その中にいました」
「ワトキンスはつまずいたりしていませんでしたか」
「はい,店の外でつまずいていました」
「あなたの居た位置から,ワトキンスは,よく見えましたか」
「はい。特に遮るものもなく,距離も20メートルくらいでした」
「ワトキンスは酔っているように見えましたか」
「はい」
「何故,そのように思ったのですか」
「正常な様子ではなく,よろよろ歩いていたし,目も充血している様子だったからです」
さて,この尋問は,「酔った人物に酒を売ってはいけない」というアメリカの架空の法律に関し,ワトキンスさんが,酔っていたことを立証したい側の主尋問です。
店に入る前に,「酔っていた様子」をイメージ付けることはできたでしょうか。
NITA風に講評するとこうなります(短くしたのでプレイバックは一つだけにしますが,,,)。
①主尋問において,「誘導尋問」を使用してはいけないことを話します。
②あなたは,「ワトキンスはつまずいたりしていませんでしたか」と聞きました。
③しかし,そこでは,
「ワトキンスの様子はどうでしたか」と聞く方がベターです。
④主尋問では,証人が語ることで,事実認定者が心証をとることになります。
誘導ではなく,極力,「誰が」,「何を」,「いつ」,「どこで」,「なぜ」等のオープンエンドで質問をして,証人に語ってもらうことが,重要です。