裁判所書記官による研修「保全手続について」に参加しました
令和5年3月 事務局
新規登録弁護士向けの研修でしたが、事務職員も参加可能でしたので、受講しました。
保全手続を申立てられる裁判所側の視点から知識を得ることができました。
事務局としては、保全手続申立て準備等をしますので、研修で指摘のあった注意事項をまとめました。
○保全事件の特質
・暫定性:権利関係を終局的に確定しない
→例えば不動産の仮差押えをしても、換価までは行わない。
・付随性:本案に付随する
・迅速性(緊急性):本案の確定までは債務者審尋は行わない
・密行性:債務者への送達は、執行終了後
決定や送達前に裁判所は、債務者からの問合せに回答できない
○民事保全の新しい類型
・特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(いわゆるプロバイダー責任制限法)における権利侵害に対する仮の地位を定める仮処分の申立て
裁判所参考文献
『発信者情報開示・削除請求の実務(商事法務)』
『一問一答令和3年改正プロバイダ責任制限法(商事法務)』
東京地方裁判所民事第9部参照:発信者情報開示命令申立て | 裁判所 (courts.go.jp)
○申立てにあたって
・保全事件は、専属管轄である
・本店所在地とは所在地の異なる支店の所在が問題となる場合、疎明資料として支店に関するHPの印刷があるとよい
・申立書類については、不足なく整えられたものを提出しないと補正をすることになり、保全事件の迅速性が阻害される
○保全の必要性について
【裁判所の基本的な考え方】
・債務者の財産に対する大きな制約となるため、丁寧な疎明を求める
・債権を差押える場合は、不動産の差押えに比して債務者へのダメージが大きいので、不動産を所有していないことの疎明を求める
・連帯保証人に対して、仮差押えをする場合には、主債務者に資力がないことを求める
法律事務所シリウスでは、月に1~2件程の保全事件の申立てを行っています。
研修の全てが理解出来たとは言えませんが、裁判所からの視点での研修を受け、申立時の注意点が理解できました。
今後の業務に研修で得た知識を活かしたいと思います。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★