「相続に関する勉強会」の実施
4月14日,船橋の税理士さんを対象に「相続に関する勉強会」が開催され、菅野が講師を務めました。具体的な事例を事前に配布してもらい,当日は解説を行うというスタイルで行ったのですが,メインテーマの一つは,負債がある場合の遺留分の算定でした。
その点について,平成19年6月21日福岡高裁判(金法1815号49頁)では「被相続人が相続財産を共同相続人の1人に全部相続させる旨の遺言をした場合について,遺留分侵害額の算定にあたって遺留分減殺請求者が負担すべき相続債務が存在しないものとして算出すべきと判断」しているのが参考になります。
こういった勉強会の為に過去の論文や裁判例を調べていると悪い癖なのですが,全然関係のないテーマの裁判例調査に没頭し,ふと気が付くと一日が終わっていることがあります。
今回も,遺骸・遺骨が誰に帰属するのかという点について調査を始めてしまいました。
「遺骨」が所有権の客体になることを肯定し,所有者は祭祀主宰者に帰属すると判断した判例(最判H1.7.18家月41巻10号128頁)はあるのですが,祭祀主宰者を明確に決められない場合も多いと思いますし,医療の進歩に伴い,脳死・臓器移植・尊厳死の問題なども併せ考えていくと,死者に関わる利害関係・倫理観・感情的な問題が交錯する悩ましい問題だと思いました。
とはいえ,他人間の紛争に介入することが多い弁護士にとって,仕事とは直接関係のないテーマに没頭している時間は,平和なひとときかも知れません。
以 上