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Q 特殊詐欺とはなんですか?

よくあるご質問刑事事件

 特殊詐欺とはなんですか?

 

 「特殊詐欺」とは、「被害者に電話をかけるなどして対面することなく信用させ、指定された預貯金口座へ振込送金させるなどして、不特定多数の者から現金をだまし取る犯罪」であり、その手口や態様によっては、詐欺罪だけでなく、恐喝罪や窃盗罪で処罰されることもあります(脚注1)。

 

1 昔は「オレオレ詐欺(親族等を装って被害者に電話をかけ,身近な人が困難な状況に陥っており至急現金が必要であるなどと信じ込ませて現金をだまし取る手口の犯行)」とも呼ばれていましたが、現在では、「預貯金詐欺(被害者の口座が不正利用されているなどとだましてキャッシュカードを受け取り、そのカードを利用してATMから預貯金を引き出してしまう手口の犯行)」や、「還付金詐欺(税金の還付があるなどとだまして手数料等の名目で被害者にATMから送金させた現金をだまし取る手口の犯行)」など、多様化した手口に応じた名前がつけられ、これらの犯罪行為を総称するものとして「特殊詐欺」という言葉が使われています。

 特殊詐欺の認知件数ですが、平成15年頃から「オレオレ詐欺」の手口による犯行が目立ちはじめ、平成16年には早くも認知(※脚注2)件数が約2万5700件(被害総額約284億円)にまで達しました。その後も、特殊詐欺は、社会情勢の変化等に応じて手口の巧妙化・多様化が進み、今日まで依然として深刻な情勢にあります。

 一方、特殊詐欺の検挙人員ですが、平成26年以降は「特殊詐欺4類型(オレオレ詐欺、架空料金請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金詐欺)」についての検挙人員が公表されています。この統計データによると、特殊詐欺の検挙人員は、平成30年に約2600人に達した後、減少傾向にあり、令和2年には約1800人でした。

 特殊詐欺事件の検挙者の大多数は「受け子」「出し子」といわれている末端の関与者です。
  というのも、特殊詐欺グループは、主犯やこれに準じる指示役を中心として、電話を繰り返して被害者をだます「かけ子」、犯行拠点を斡旋したり犯行に使用する架空口座等を調達する「犯行準備役」、被害者の自宅等に現金等を受け取りに行く「受け子」、被害者に振り込ませた金銭をATMから引き出し又はだまし取ったカードを使ってATMから現金を引き出す「出し子」等からなる犯行グループを形成し、役割分担の上、組織的に敢行されています。そして、この組織の中で最も捕まりやすいのが、直接被害者と接触する「受け子」やATMの前に立つ「受け子」であり、上位者は滅多に捕まらない構造になっているからです(※脚注3)。

 令和3年版犯罪白書では、特殊詐欺についての特集が組まれています。
  ここで紹介した言葉や数字も、令和3年版犯罪白書326頁以下に詳しく書いてありますので、興味のある方はご覧下さい(インターネットでも公表されています。)。

 

※脚注1 例えば、電話で「あなたには借金があります」とだましただけでなく「払わないとヤクザが自宅に押し掛ける危険がありますよ」と脅せば恐喝罪として処罰される可能性があります。また、最近では、電話でだました被害者の自宅に警察官を名乗る共犯者が訪問し、被害者の隙をついてキャッシュカードを持ち去る手口も横行していますが、この場合は窃盗罪として処罰されることになります。

※脚注2 認知とは、警察が被害届を受理するなどして犯罪の発生を認識し、捜査を開始するきっかけ(端緒)を得ることをいいます。

※脚注3 「受け子」は、被害者に顔を見られるリスクが高く、最近は、捜査機関が行う「だまされたふり作戦」により待ち伏せされて現行犯人逮捕される危険も少なくありません。また、「出し子」は、ATMに設置された防犯カメラで顔写真を撮影されてしまうことなどから、「受け子」同様に逮捕されるリスクが高いといえます。時折ニュースなどでは、警察が「かけ子」グループのアジトを急襲して一網打尽に検挙したなどと報じられますが、実は、この「かけ子」でさえ、アルバイト感覚で関与している若者が多く、組織の実態を知らされていないのが実情です。真の悪人ともいえる主犯者は、こういった組織を利用して、自らは逮捕されずに、のうのうと、被害者から吸い上げた金で贅沢な暮らしをしているのです。

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★