Post Office Scandal in UK
2021.06.30ブログ
先日、イングランドのCourt of Appeal(控訴院)において、元郵便局員39名に対する有罪判決を取り消す決定が出され、イギリス国内では大きな話題となっています。最終的には700件以上の有罪判決が取り消される見込みであるとも言われており、イギリスの歴史上、最大規模の冤罪事件とされています。
冤罪の原因は、当時の郵便局の窓口業務で用いられていた富士通製のシステムの不備でした。システム上、収支の計算がマイナスになる事例が続発し、窓口業務に当たっていた郵便局員の不正が疑われ、郵便局が局員を起訴する事例が相次いだようです(イギリスでは、検察官による起訴独占の制度は取られていません。)。2000年に最初の事例が起きてから、2014年に至るまで、郵便局員の起訴と有罪判決が続き、冤罪は前代未聞の規模となりました。
現在のところ、マスメディアの批判は郵便局に向いているようですが、多数の冤罪を生み続けた刑事司法にも問題があったことには間違いがありません。テクノロジーに依存した司法の怖さを実感させられる事例です。
https://www.bbc.co.uk/news/business-56718036
弁護士 中井淳一
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★