Q 検察庁から電話があり,「警察が押収した証拠品を還付するので検察庁まで取りに来てください。」と言われましたが,かなり遠く,交通費もかかるので行きたくありません。良い方法があれば教えてください。
A 自宅まで直接届けてほしい,自宅に郵送してほしい等の希望を伝えれば,柔軟な対応をとってもらえる可能性があります。
その理由は,次のとおりです。
1 検察庁の職員が証拠品を取り扱うときのルールに「証拠品事務規程(以下,「規程」といいます。)」というものがあります。
この規程には,当然ながら証拠品還付に関するルールも示されており,その方法については,「証拠品担当事務官は,証拠品を還付する場合には,受還付人の出頭を求め,又は受還付人の住所,居所等に持参し,本人又はその代理人に対し本人であること又は代理権を有することを確認してからこれを交付する。」と明確に定められています(規程49条1項)。
さらに,この規程には,「証拠品担当事務官は,証拠品を郵便その他の方法により送付して還付するのを相当と認める場合には,受還付人に対し,送付による還付の希望の有無を照会する。」(規程50条1項)とも定められています。
したがって,証拠品の還付を受ける場合,必ずしも検察庁まで出頭する必要はなく,自宅に届けてもらうことも可能ですし,例えば遠隔地などで直接の行き来が難しい場合には,郵送等による還付を受けることも可能です。
2 とは言え,検察庁の証拠品担当者の立場としては,そのような対応をすることは煩雑ですから,まずは,取りに来て欲しいと連絡してくるのです。
これに対し,一般の方々は『検察庁からの連絡だし,そういうものか。』と考えてしまう可能性があります。
しかし,実際には,上記規程がある以上,検察庁の職員も柔軟に対処してくれるはずですので,「自宅まで持ってきてくれませんか。」とか,「郵送してくれませんか。」と頼んでみてはいかがでしょう。
検察庁の証拠品担当者も,還付を受ける人にとって負担のない方法を考え提案してくれるはずです。
令和3年4月14日
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★