Q 10年前に実家を建て替えたときに,納屋から油紙に包まれた古びた拳銃と弾丸が出てきました。それ以来,誰にも言い出せず仏壇の下に隠し続けていたのですが,今頃になって,もし発見されたら罪に問われるのではないかと気になって仕方ありません。どうしたら良いでしょうか。
1 弁護士に相談して,警察に自首することが考えられます。
2 拳銃の所持罪は,銃砲刀剣類所持等取締法(以下,「銃刀法」といいます。)によって処罰されます。
その法定刑は,1丁だけの所持であれば1年以上10年以下の懲役刑,2丁以上の所持であれば1年以上15年以下の懲役刑とされています(銃刀法31条の3第1項)。
それだけでも十分重い罪と言えますが,もし,その拳銃を,それに適合する実包(弾丸)と一緒に所持していた場合には,更に刑が加重され,その法定刑は,3年以上の有期懲役(刑法12条1項により20年以下)とされています(銃刀法31条の3第2項)。
古びた骨董品のような拳銃や弾丸であっても,鑑定により発射能力があると認められてしまえば,この処罰を免れることが難しくなります。
また,拳銃等所持罪は,所持の目的を問いませんので,設問のように「誰にも言い出せな」かったという理由であっても,犯罪は成立してしまう危険があります。
ですから,設問のように,仮に実家の建て替えのときに拳銃等を発見した場合には,そのままの状態で,すぐに警察に通報して回収してもらうべきでした。
3 もっとも,その後,約10年間仏壇の下に隠し続けてしまった場合であっても,警察に自首することによって,刑を減軽又は免除してもらうことが期待できます。
このことは銃刀法に明文規定がある上(銃刀法31条の5,同法31条の10),警視庁のホームページでも,「銃刀法の自首減免規定について」といった標題で紹介されています。
この規定は,日本国内に拡散されている危険な拳銃等をできる限り効率的に回収したいという政策的目的により特に定められた規定であり,条文上も「減軽又は免除する。」と規定されているので,自首をすれば必ず刑が減軽又は免除されることとなります。
4 最終的に刑が「免除」されるのか,それとも「減軽」にとどまるのかは事案の内容によって変わってきますし,仮に減軽にとどまったとしても,担当検察官との交渉により起訴猶予処分を得ることも不可能ではありません。
実際,筆者も,同じような事案を処理してきた経験がありますので,その経験を踏まえて的確な助言を差し上げることも可能かと思います。
このようなお悩みをお抱えの方は,お気軽に御相談ください。
令和3年4月12日
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★