近隣トラブルで相手に怪我をさせてしまい,警察に被害届を出されたようです。どのようなことに気を付けたら良いですか?
1 まず気を付けるべきは,警察からの「出頭要請」や「事情聴取(取調)」に対し,どのような態度を取るのかを,あらかじめ,きちんと決めておく必要があるということです。
2 近隣トラブルといっても様々です。
例えば人が死亡するような重大事件であれば,いきなり逮捕されてしまうこともあり得ます(この場合には,迷わず,当番弁護士を呼ぶことをお勧めします。)。
もっとも,多くのケースは,ゴミ出しを巡り口論となりカッとなって暴力を振るい相手に軽傷を負わせてしまった場合のように,比較的軽微なトラブル案件です。
このような軽微案件であっても,傷害罪に問われる危険があるため,被害届が出された以上,警察も捜査に乗り出さざるを得ません。
そして,このような軽微案件の場合,警察は,まず,当事者双方から話を聞くことにより事案の内容を確認しようとするはずです。
3 そのため,被害届が出されてしばらくすると,警察から出頭要請があるはずです。
ですから,被害届が出された場合は,まず,この出頭要請に対し,どのような対応をとるべきかを考えておく必要があります(その際の留意点については,当ホームページブログ「警察からの出頭要請を受けました。どうしたら良いでしょうか?」も御参照ください。)。
この出頭要請に対しては,最終的には,都合を付けて応じたほうが得策なことが多いのですが,そのタイミングはコントロール可能です。
例えば,都合の悪い日程であれば,遠慮なくその旨を伝えて,日程を変えてもらうことができます。
また,事実関係にほぼ争いがなく,早めに示談交渉をして被害届を取り下げてもらうことが見込まれるケースの場合であれば,警察にも示談交渉を行っていること(あるいはその方針であること)などを伝えて,出頭そのものを先延ばしにする交渉を行うこともあり得ます。
さらには,警察からの出頭要請がなかなか来ないためどうなっているのか不安で落ち着かない場合には,積極的に警察に連絡をして,捜査の進捗状況や出頭要請の見込みがあるかないかを確認することも可能です。
4 出頭要請に応じた場合には,警察の事情聴取(取調)に対し,どのような対応を取るかを考えておく必要もあります。
事実関係に争いのあるケースであれば,自分の言い分をきちんと伝えられるように記憶を整理しておく必要がありますし,何らかの物証があればそれと自分の言い分との整合性を確認しておく必要があります。
場合によっては,黙秘権を行使したほうが得策と思われるケースもありますので,その点の検討も必要です。
また,事実関係にはほぼ争いがなく,黙秘権を行使する必要まではないとしても,想定される警察官の個々の質問に対しどう答えるのかについて,一定の戦略を練って十分な準備をしておく必要もあります。
5 このように,近隣トラブルで被害届を出された場合には,その後に予測される警察からの出頭要請や事情聴取(取調)に対し,相応の準備をしておく必要がありますが,具体的にどのような準備をしておくべきかは,事案の内容によって異なります。
また,一般の方にとって,そもそも,警察との折衝自体が恐ろしいものであり,ハードルが高く感じられるかも知れません。
そこで,まずは,刑事事件の経験豊富な弁護士に御相談いただければ,事案の内容や,その原因や背景事情などをきちんと把握させていただいた上で,具体的な対処方法の助言を差し上げたり,弁護人として警察との折衝を行うことも可能になります。
6 近隣トラブルで事件を起こしてしまった方の多くは,本来は犯罪とは無縁の方であるため,感情的になり相手に被害を与えてしまったという罪悪感から,警察の言いなりの捜査に応じてしまい,あとで取り返しのつかない不利益を負わされるおそれがあります。
やってしまったことの責任を取ることは必要かもしれません。
しかし,警察という捜査機関の強制力が働く以上,自分の置かれた立場をきちんと把握し,それに応じて自分の身を守ることが必要です。
法律事務所シリウスには,刑事事件に精通した弁護士が複数在籍しており,チームワークで対応しておりますので,お困りのときは,お気軽に御相談ください。
2021年5月7日
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★