微熱などが続き体調が悪い状態です。 新型コロナウイルスに感染したのかも知れませんが,検査はしていません。このような体調で知人と会ったり,店に買い物に行った場合,犯罪になりますか。
1 もし応対した店員に「コロナに感染した。」などと不用意な発言をした場合,威力業務妨害罪(刑法233条)に問われる危険があります。
緊急事態宣言が出ており誰もが感染の恐怖におびえている中で,このように不用意な発言をすることは,刑法233条の「偽計」を行ったと判断されてしまうからです。そして,この発言のために,店側に消毒等の無駄な作業を強いてしまうことになれば,店の「業務を妨害した」と判断されてしまうのです。
このような不用意な発言に対しては,実際に逮捕者も出ているので,気を付けましょう。
2 他方,そのような体調で知人と会ったり,買い物に行ったりすること自体は,犯罪ではありません。
しかし,仮にあなたが新型コロナウイルスに感染していたことが後でわかり,しかも,そのウイルスを知人や店員に感染させてしまった場合には,傷害罪(刑法204条)や過失傷害罪(刑法209条)に問われるかも知れません。
例えば,あなたがウイルスを感染させてしまった知人や店員の前で激しく咳をしたり手を触れたりしていたら,それが「暴行」と判断されて傷害罪の責任を問われる可能性があります。
また,そのような体調で知人と会ったり,店に買い物に行くこと自体が「過失」と判断されて,過失傷害罪の責任を問われる可能性があります。ですから,そのような体調で知人に会ったり買い物に行ったりする場合には,「過失」があったと非難されないように,相手と一定の間合いを取ったり,咳による唾液の飛散を防ぐマスクをするなどの一定の注意をしておいたほうが良いでしょう。
3 もっとも,実際に警察が傷害罪や過失致死罪を立件するためには,あなたが知人や店員にコロナウイルスを感染させた張本人であったことを明らかにしなければならないのですが,それは容易ではありません(感染源が誰かはわからないことの方が多いからです。)。
したがって,仮にあなたが新型コロナウイルスに感染しており,あなたが会った知人や店員が同じウイルスに感染したとしても,警察に逮捕されたりすることはまずないでしょう。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★