【保釈・執行猶予】同居する実母に対するDV事件(傷害)で逮捕された被疑者について,環境調整をした上,実母からも真意を確認したことにより,保釈許可を勝ち取り早期釈放され,更には執行猶予判決を得た事例
取扱事案
依頼者は,実家で母親と二人暮らしでしたが,泥酔状態で帰宅したことに小言を言われて激怒し,母親に暴力を振るって大けがをさせたことで逮捕されました。
依頼者には,前科こそなかったものの,母親に暴力を振るって警察沙汰になったのは今回が2回目であったため,母親は,警察官に「依頼者との同居を続けるのは無理。一刻も早く実家を出て行って欲しい。」と訴えていました。
一方,依頼者は,反省の態度を示し,仕事で稼いだ金で母親の治療費を払いたいので,できるだけ早く保釈してもらいたいとの希望を持っていました。
結果
保釈とは,身柄拘束されている被告人に対し,裁判所が指定した住居地(「制限住居」と言います。)に住むことや,保釈金を納付することを条件として、身柄の拘束を解く制度です。
保釈の制限住居は,通常,被告人の自宅や,身元引受人の自宅であることが多いのですが,依頼者の場合,母親から同居を拒絶されて戻る自宅が無くなったことから,まずは,制限住居にふさわしい帰住先を探す環境調整の必要がありました。
そこで,依頼者から親しい知人数名の連絡先を聞いて連絡を取ったところ,幸い,依頼者のかつての同僚で,現在は独立して事業を営んでいる知人が,依頼者の雇用と,転居先が見つかるまでの一時的な住まいの提供を申し出てくれました。
その上で,母親と面談し,依頼者の処罰に関する真意を確認したところ,同居を拒絶したのは息子(依頼者)に反省を深めてもらいたい親心であり,息子(依頼者)には真面目に働いて自活してもらいたいだけで,息子(依頼者)の処罰などは望んでいないとのことでした。
そこで,母親には,上記心情を素直に綴った上申書を作成いただき,依頼者には「当分母親には近寄らない。知人の世話になり真面目に仕事をする。」旨の誓約書を書いてもらった上,これらを資料として添付し,裁判所に保釈請求をしたところ,保釈許可を勝ち取ることができました。
その後,依頼人は,約束通り真面目に働き,分割ではありますが母親に医療費も返すことができたため,母親との示談も整い,執行猶予判決を得ることができました。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★