災害関連ブログ(1)
2019.10.29ブログ
【相談事例1】
強風で,隣家の壁が剥がれ,飛んできて,自宅の窓ガラスが割れた。
隣家の所有者に損害賠償請求することはできるか。
【回答】
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が発生したときは,その工作物の占有者及び所有者は,被害者に対して損害を賠償する責任を負うとされています(民法717条)。
占有者は,損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときには,賠償責任を免れますが,所有者にはこのような免責事由が規定されておらず,いわゆる無過失責任を負っていると考えられています。
工作物に「瑕疵」があるかどうかは,その工作物の構造,用途,場所的環境等から,通常予想される危険の発生を防止するに足りる安全性を備えているかどうかで,個別具体的に判断されるものです。
そのため,相談事例でも,隣家の構造や,強風が通常予想される程度の自然災害といえるかどうかにより,損害賠償が認められるかどうかが判断されることになります。
なお,隣家の所有者に損害賠償請求できるかどうかにかかわらず,自分の加入している火災保険等で,自然災害による被害についても補償の対象とされている場合がありますので,まずは,対象となる保険がないかどうか,確認することが重要かと思われます。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★