民法改正シリーズ ~請負契約の解除~
2019.07.16ブログ
民法の改正により,請負契約の解除に関する規律が変わります。
現行法において,注文者は,請負契約の仕事の目的物に瑕疵があり,そのために契約の目的を達成できない場合には,契約を解除することができるとされており,さらに,建物については,このような場合でも,契約を解除することができないと規定されていました(現行民法635条)。
もっとも,判例では,請負の目的物が建物である場合について,目的物に重大な瑕疵があり,立て替えざるを得ないような場合には,建物の建替費用相当額について,損害賠償を認めるという立場を採用しており(最判平成14年9月24日判タ1106号85頁),実質的には,建物の解除を認めたに近い扱いがなされていました。
改正民法では,この条文そのものが削除され,目的物が契約の内容に適合しない場合の契約の解除は,債務不履行による契約の解除の一般的な規律に従うこととされました(改正民法559条,同564条)。
これにより,請負の目的物が建物であっても,契約の内容に適合しない場合には,一般的な債務不履行の規律により,契約の解除が認められる場合があることとなったといえます。
なお,この改正は,2020年4月1日から施行されます。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★