相続法改正(3)~預貯金債権の分割前の一部取り戻し~
2019.05.21ブログ
平成30年7月の相続法の改正により,預貯金債権の取扱いについて,以下のとおり変更がありました。
1 預貯金債権の一部取り戻し
遺産に属する預貯金債権のうち,相続開始時の額の3分の1に当該相続人の法定相続割合で割った分については,相続人が単独で引き出すことができるようになりました。
改正に先立つ平成28年の最高裁判例により,預貯金債権が原則として遺産分割の対象となることが明確になったため,遺産分割が整うまでは各相続人が故人の預貯金を自由に下ろせなくなりました。
そこで,遺産分割がなされるまでの葬儀費用や故人が生前使用した施設費・入院費等の支払い等のため,一定額については各相続人に権利を認めることを明確化したものです。
もっとも,各相続人が下ろせる額については,標準的な当面の必要生計費,平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とされました。
2 施行日について
この改正は,平成31年7月1日から施行されます。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★