民法改正シリーズ ~消滅時効~
民法の改正により,消滅時効の分野の規律が変わります。
時効には,債権を一定期間行使しない場合に,債務者から,時間の経過による債務の消滅の主張を認める「消滅時効」と,一定期間物を占有していたこと等をもって,その物についての権利を取得したものと認める「取得時効」がありますが,今回改正がなされるのは,消滅時効の関係のみです。
これまで民法は,債権は,権利を行使できるときから10年間行使しないときは消滅する,という一般原則を定めていました。
今回の改正では,①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときと,②権利を行使することができる時から10年間行使しないときに,債権が時効によって消滅するものとされました(改正法166条)。
進行していた時効期間の効力を失わせ,その事由の終了により再び時効の進行を開始させる,時効の「中断」という概念は,「更新」に替わり,時効の進行を一時的に止める「停止」という概念は,「完成猶予」に替わることになった点も,従前の民法との大きな違いと言えます。
これまでは,時効の中断事由とされていた訴えの提起等の裁判上の請求は,完成猶予事由となり,確定判決によって権利が確定したことが更新事由とされるなど(改正法147条),実務に影響を及ぼす改正点が複数あります。
何らかの債権を持っていても,時効期間を過ぎると債権が消滅してしまう場合があることから,時効に関する改正はとても重要であるといえます。
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★