民法改正と交通事故実務への影響 ~④自動車保険の約款~
2017.11.07ブログ
平成29年6月2日,『民法の一部を改正する法律』が公布され,民法のうち債権関係の規定が大きく改正されることになりました。
今回の民法改正では,これまで民法上は明示的なルールが定められていなかった「約款」について,いくつかの条文が定められることになりました(改正後の民法548条の2~4)。
これにより,「約款」が相手方の利益を一方的に害するような場合には合意がなかったものとみなされたり,「約款」の交付等を求められた業者はこれを拒めないことになります。
こうしたルールは,自動車保険の「約款」についても,適用されることになると考えられます。
「約款」に関する民法の改正は,賠償額などに直結するわけではありませんが,自動車保険の根本的な部分を規律することになるため,法律的には見逃せない変化といえます。
弁護士 中井淳一