民法改正と交通事故実務への影響 ~②遅延損害金~
2017.10.23ブログ
平成29年6月2日,『民法の一部を改正する法律』が公布され,民法のうち債権関係の規定が大きく改正されることになりました。
これにより,交通事故における損害賠償の分野でも,様々な影響が生じます。
その1つとして,法定利率の引き下げにより,遅延損害金が減少することになります。
今般の民法改正により,これまでは年5%とされていた民事法定利率が,年3%に引き下げられます(改正後の民法404条2項)。なお,この利率は,今後3年ごとに変動することになります。
これまでであれば,交通事故の損害賠償請求訴訟を提起して判決を得た場合,認められた損害賠償請求権に,年5%の遅延金が付されていました。
しかし,民事法定利率が引き下げられたことにより,この遅延損害金も,年3%で算定されることになり,これまでよりも減少します。
民法改正により,交通事故の発生日によって,裁判で認められる遅延損害金の額が異なってくることがあるため,注意が必要です。
弁護士 中井淳一