遺言(ゆいごん・いごん)
遺言とは、被相続人が死亡する前に法律上定められた一定の方式に従って、相続に関する事項について記載した文章をいいます。
民法では、普通方式の遺言として自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という遺言の形式を定めています。
偽造や変造という問題が生じない上、遺言を紛失する危険性が基本的にはない公証役場で公証人の立ち合いのもとで作成される「公正証書遺言」が優れており、多くの場合に利用されています。
遺言によって、被相続人は自己の財産の行方について定めることができます。
遺言がなければ、法定相続がなされることになりますが、日本の民法では、遺言によって被相続人の意思を死後の財産関係に影響させることを認めています。
遺言があればどのような内容でも、被相続人の意思が尊重されるかというとそうではありません。その一つに遺留分があります。
遺留分とは、相続財産の一定割合を一定の範囲の相続人に留保するものです。
例えば、被相続人が第三者に全ての財産を遺贈するという遺言があったとしても、法は相続人の生活保障の観点から配偶者と子供については、相続財産の2分の1について、直系尊属については3分の1について遺留分減殺請求(一定割合の遺産を相続人に戻せという請求)を行うことを認めています。
相続人が遺留分の請求をするかどうかは相続人次第ではありますが、遺留分の範囲を超えた遺贈等がなされても、遺留分の限度で被相続人の意思が実現できない場合があるということになります。